♬ ~初めての言葉~ ♬   テープ起こしで出会う言葉たち

テープ起こしの仕事をしていると、さまざまな言葉に出会います。知らない言葉、聞き取れない言葉、聞き間違った言葉。印象に残る言葉を折々集めてみたブログです。

【寝る】

国会シリーズです。

国会は与野党の対決の場でもあります。法案を通すか通さないか、最終的には採決をするわけですが、そこに至るまでに戦いがあります。国会審議の場で見えるのは、さまざなま調整や駆け引きが終わったあとの姿であり、ほとんどはその前の段階(それが長いのですが)でやりとりされているのが実態です。

ほとんどの法案が、採決の段階で可決されるべく事前に(主に国会対策委員会議院運営委員会等で)調整されるわけですが、その調整が不調に終わった場合、議事妨害の手段として「審議(審査)拒否」という方法がとられることがあります。

その法案の内容あるいは手続きその他に納得できない政党が、党員に党議拘束をかけることによって「審議(審査)拒否」は行なわれます。通常、野党によってとられる方法ですが、野党が多数を占める議院あるいは委員長が野党議員である委員会では、与党が行なうこともあります。つまり、一般的に採決では不利な少数派がとる戦術ということになります。

審議拒否で本会議または委員会に複数の議員あるいは委員が欠席したとしても、定足数を満たしていれば、反対政党議員(委員)欠席のままで単独審議(審査)、採決することも可能です。しかし、それでは国会の存在意義そのものが問われますし、マスコミの批判もありますから、通常はそういうことはしません。

この審議(審査)拒否のことを「寝る」「寝てしまう」と言うのです。ふて寝っぽい感じがして、語感としてはかなり笑えます。予想されると思いますが、審議(審査)を再開することを「起きる」と言います。

審議(審査)拒否が続くことを「国会空転」といいますが、そうなると国会の会期内に重要法案が審議できなくなっていくおそれが生じます。

このほか、議事妨害の手段はいろいろありますが、私が個人的に印象的なのは「牛歩戦術」ですね。大の大人がねー(笑)。wikiで調べたら最長記録は13時間超だそうです。

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「テープ起こし」という言葉はもはや死語に近い気がします。カセットテープ、使いませんものね。「起こす」からには、「録音されたもの」は「寝て」いるのでしょうか(笑)。文字起こし、テープ起こしの仕事というのは「寝た子を起こす」仕事なのか? なんて思ったり。独り言です……。