♬ ~初めての言葉~ ♬   テープ起こしで出会う言葉たち

テープ起こしの仕事をしていると、さまざまな言葉に出会います。知らない言葉、聞き取れない言葉、聞き間違った言葉。印象に残る言葉を折々集めてみたブログです。

【かくぎせいぎ】【かくぎふぎ】

日本語は難しいと感じるのは、一目見れば意味がわかるのに、聞いただけではわからない言葉に出会ったときです。日本語を母語としない人が日本語を学ぶ場合、「読み書き」を主眼とするのか、「会話」を主眼とするのか、それによってアプローチがまったく変わってくるだろうと思いますが、漢字とひらがな、カタカナも学ぶ必要があるから、やはり読み書きのほうがハードルが高いのでしょうか。もちろん専門とする分野があり、その必要性から日本語を学ぶ場合は、また違ってくるとは思いますが。

さて、日本人として生まれて、日本語の読み書きが普通にできる人であっても、この言葉を初めて聞いて、正確に聞き取り、かつ、正確な漢字を思い浮かべられる人は、そう多くないのではないでしょうか。

    かくぎせいぎ   かくぎふぎ

閣議議事録公開のニュースを見たときに、閣議について少し確認してみました。そのときに思い出したのがこの言葉でした。漢字では

    閣議請議    閣議付議

と書きます。

文字を見ると、なんとなく意味が想像できるでしょう? 漢字というのはすばらしい文字です。さらに、漢字とひらがな(時にはカタカナ、アルファベット)を組み合わせた日本語って、奥が深いですね。

さて、閣議とは何でしょう。「首相官邸」のHPに詳しく載っています。http://www.kantei.go.jp/jp/rekidai/1-2-5.html

この中の、(5) 議事内容の公表には、以下のように記載されています。

閣議において、各大臣の隔意のない意見の交換を望む関係上、閣議の議事は非公開とされ、また、個々の発言を記録した議事録は残されていない。なお、閣議の概要については、内閣官房長官の記者会見において発表されることになっている。

「議事録はない」とあります。それを作りましょう。さらに、議事すら「非公開」であったのに、議事録を「公開」にしましょう、というわけです。しかし、実際には出席閣僚の全員一致が原則とされ、事前にすべての根回しが済み、全員一致が確実になった状態でなければ閣議は開催されません。ということは、その場は花押の押印がメインの作業。議論などなされるはずもなく、それを公開して何の意味があるのでしょう、という疑問が湧きます。

閣議にかかる前のプロセスについては、これまた安倍内閣ではおおいに注目を集めた内閣法制局のHPにわかりやすく記載されています。閣議付議、閣議請議の意味も、ここを読めばよくわかります。
http://www.clb.go.jp/law/process.html

ここにあるように、すべての法案は内閣法制局という関所を通過してから閣議請議されます。そこで、内閣法制局長官に、集団的自衛権に関する自分の考えに同調する人を持ってくればいい、と考えた安倍首相が、何かと話題となった小松氏を長官に据えたわけです。その後、小松氏は孤立していきます。

小松長官の任命、閣議議事録の公開、同じにおいのする出来事です。

(2014年4月23日に、別のブログにアップした記事をこちらにコピーしました)