【しょうにあたる】
「しょうにあたる」で検索してみると、いきなり「衝に当たる」だけが出てきます。
テープ起こしをしていて正確に聞き取れたのであれば、この表現を知らなかったとしても一発で確認ができます。聞こえなかった場合、どうでしょうね。
「しょにあたる」「しょうにある」「しょうにあう」……
という感じで順番に調べていくことになるでしょうか。「しょう」と読める漢字は相当数ありますから、なかなか難儀な作業になりそうです。
・まず、「衝」という字に注目してみました。パッと思い浮かぶ「衝」を使った熟語は、「衝撃」「衝突」「要衝」「折衝」など。
「衝」の意味は3つありました。
1 必ず通る道や地点。要所。「水陸交通の―にある都市」
2 大事な任務。「外交の―にあたる」
3 外惑星が地球を挟んで太陽と正反対の方向に来ること。惑星の黄経と太陽の黄経との差が180度になること。このとき外惑星は地球に最も近づく。
3は、へえーー、というだけで、次の瞬間に忘れてしまいそうです。
「衝に当たる」の「衝」は、まさに2の「大事な任務」の意味ですね。
・ついでに「要衝」を調べると……
軍事・交通・産業のうえで大切な地点。要所。
とありましたから、、「要衝」の「衝」は「衝に当たる」の「衝」と同じような意味合いです。
・さて、そうなると、「衝突」も気になります。
1 突き当たること。ぶつかること。 「自動車が-する」 「 -事故」
2 利害・意見などの相反するものが争うこと。 「意見が-する」
この場合の「衝」は、上記の「衝」の1「要所」、2「大事な任務」とは
若干ニュアンスが違う感じ。
・それでは、「衝撃」は?
1 激しく突き当たること。また,それによって起こる刺激。
2 思いがけない出来事によって起こる,心の激しい動き。
3 物体に瞬間的に激しい力が加えられること。また,その力。
「衝」は、「刺激」「動き」「力の付加」のようなニュアンスになっています。
「要所」「大事な任務」とはやはり違います。
・そして、「折衝」は?
〔敵の衝(つ)いてくる矛先をくじく意〕
有利に事を運ぶように,相手と駆け引きすること。また,その駆け引き。外交的または政治的駆け引きなどにいう。
あっ! ここで「衝(つ)く」という意味があることを発見。「衝突」や「衝撃」の「衝」は、こっちの意味ですね。
【しょうにあたる】から、「衝」の字についての語感が広がりました。