♬ ~初めての言葉~ ♬   テープ起こしで出会う言葉たち

テープ起こしの仕事をしていると、さまざまな言葉に出会います。知らない言葉、聞き取れない言葉、聞き間違った言葉。印象に残る言葉を折々集めてみたブログです。

【猟官運動】(りょうかんうんどう)

猟官運動」の前に、【猟官制】(spoils system りょうかんせい)についてチェックしてみた。ウィキペディアにも載っている。そのまま拝借。

公職の任命を政治的背景に基づいて行うこと。特に政党政治が発展した19世紀のアメリカやイギリスなどで盛んに行われ、選挙で政権政党が交替するたびに中央・地方を問わず公務員のほとんどが新しい政権政党系の人物に変更された。党人任用制(とうじんにんようせい)とも表現される。

続けて由来が書かれている。ここもそのまま拝借。

選挙によって政権を獲得すると、政権運営に必要な公職を政権の支持派で固めるため、しばしば公務員の入替が行われた。それは公職をあたかも狩猟の獲物(スポイルズ)のように扱っていることを皮肉ったアメリカ上院議員のウィリアム・マーシーが命名したと言われている。

もっとも、当時において猟官制が売官制や情実主義のように罪悪視されていたわけではなく、むしろ絶対王政的な官僚制から近代民主主義を防衛するために必要な制度であると考えられた点に留意する必要がある。

そして、【猟官運動】であるが、これは一般的な使用法がわからないのだが、やはりネットで見てみたところ、はてなキーワードには次のような説明があった。そのまま拝借。

猟官とは、字義通り、官職を手に入れようとすること。猟官運動とは、単純には官職を手に入れようと有力者に働きかけたり、何らかの形で経綸を述べたり、あるいは大っぴらには言えないようなことをすることである。なお、「官職」とは単純には公務員としてのポストであるが、場合によっては位階(冠位)を得ようという努力についても、この語が用いられることがある。

 近代的な官僚制度が整備される以前、官職とは給料以外にも特権や余録を含んでいるのが常であり、それを手に入れるためにある程度の代価を払うのが当然と思われていた時代もあった。
 またそのような事情がなかったとしても、「適材適所」を言葉通りの意味で実現・保証する手段が存在しない以上、何らかの形で「有力者」が公務員人事に容喙するのは珍しいことではなかった。

これらを読むと、歴史的経緯を踏まえると「猟官」=「悪」というイメージでとらえるのは必ずしもあてはまらないことがわかる。

しかし、現代の日本においてこの表現が使われるときには、マイナスのニュアンスが含まれることが多いのではないかと想像される。

追記

この記事の下書きをしたのは2013年前後だったと記憶している。2016年9月現在、ネットを検索してみたところ、【猟官運動】で、出典、デジタル大辞泉として、gooの国語辞典に記事がありました。これもそのまま拝借。

 

大臣や高級官僚などの地位を得ようとして、力のある人物に働きかけること。

はい、そのまんまでしたね。というわけで、文脈から意味を推測するのは簡単な言葉だと思うので、聞き取りさえできれば、たとえ知らなくても正解にたどり着くのは可能。